ふと気がつくと、僅かに開いたドアの隙間から伸びた光の筋が、自分の太股を横切っている。
そこから、音が聞こえる。きっとテレビの音だろう。
陸は最近、バイトが忙しいらしく、行為を終えると途端に爆睡する彼女を残し、出かけてしまう。
だから、陸…ではないのかも。
母子家庭の陸の母さんは、夜の仕事だし……
…弟?
陸の弟。一度だけ校内で姿を見かけた。
「あ、伶。」と陸が呟いて指差した方向にいたのは、艶のある黒髪の男の子。
数人の男子の中にいたけど、何故か彼だと感じた。