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彼氏の弟。

(゜∀。)  2007-09-25投稿
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その“伶くん”が振り向くこともなかったから、私の中の彼の姿は「艶やかな黒髪」だけだった。

そんな彼と二人きりになるのは気まずいけれど、テレビのある、そして多分伶くんのいるリビングを通らないと、玄関には辿り着けない。


仕方なく、そろそろと廊下に出た。途端にミシッと床が軋んだ。躯が跳ねる。

   「…誰?」

初めて聞いた彼の声。高く掠れた、幼さと大人の色気が入り混じった声。

  「あ、あのぉ…」

そっとリビングに顔を覗かせると、テレビ、テーブル、ソファーと、その上に座る山田伶の姿があった。


「ああ、兄ちゃんの彼女」
乱れを知らないなだらかな声が、紅い唇から発せられる。髪と同じように真っ黒な艶をもつ瞳。それとは対照的に白い肌。華奢な躯。


初めて見る彼氏の弟の姿に見とれてしまっていた。

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