それから、なんだかよく、陽介が教員室の私の席に逢いに来ていた。生まれて初めて誰かに「先生」と呼ばれ、抵抗を感じていた私に、陽介と陽介の友人は「紫織さん」と呼び、親しみを持ってくれたことが嬉しかった。 こんなことが続き、陽介が20歳になる頃には食事にも出かけていた。もちろん、複数で。教師の私と生徒である陽介と二人きりだなんて、世間体より何より、私自身が崩れそうな気がしていた。 あの、少し苦しい胸の痛みと共に、陽介の温かい目や優しい声が私を熱くさせようとしていた。
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