「昨日のこと…なんだけど…」陽介が切り出した時、やっぱりと思った。私こそ、大人にならなきゃいけない。あれは遊びなんだと。「俺、後悔してないんだ。ただ…傷つけたなら謝ろうと思って。」そんな、傷つくわけがない。…むしろ…癒されたという感もある。優しい手、温かい手が心を溶きほぐされた。「紫織さん…後悔しとる…よね。」「…後悔してないよ。私こそごめんね。」未来ある子にこんな悲しい顔させて私はやっぱり教師には向いてないかも。
「よかった…。俺、嫌われたのかと思ってた。」「…嫌わないよ。」嫌わないよ。最初に逢った時より、ずっとずっと…陽介が気になる存在になっているのは間違いない。…あれ。私は何を言おうとしてるの?
「ほんと?…俺、今、すごく紫織さんを抱きしめたいけど…我慢してるんだ。ここは学校だし…。…どこでなら俺、紫織さんを抱きしめられる?迷惑??俺のこと」そんなこと言われたら私が陽介を抱きしめたくなるじゃない…。迷惑なんじゃなく、いけないことなんだよ。…私は教師だし陽介は生徒。…だれもが考えるいけないけとなのに…ダメ…ドキドキする…。そんな目で見られたら…体が反応しちゃう…。