「いやです!」当時24のせなは断った。しかし…会社のこと、父親のこと、取引先のこと、自分の家族のこと…せなは、連れていかれた。大きな自宅に連れていかれた、体ひとつで…「確か君には、婚約者がいたね」せなは、稔の部屋につれて行かれた。「はい」せなは、弱々しく返事をした。そうすると稔は、妊娠検査薬を渡した。せなは、ムッとした顔で睨んだ。「君に悪い腫瘍がないかみるんだ。」…せなは、部屋にあるトイレに行こうとした。すると稔もついてきた。「何を…」「誤魔化されたら大変だ。みとどける。忘れたのか、商品だ、君は」せなは、トイレに入る。そのドアのすぐ向こうには…稔がいる。(えっ…)せなは反応をみて驚いた…陽性だった。「陽性か。」トイレの上から稔が見ていたのだ。「いや――」…せなは、無理矢理、佐藤家の環境研究所内にある病院で、薬をかがせられて、お腹の子供を中絶させられた…二ヶ月だった。せなは、しばらく泣き続けた。悲劇は、終わらない。三ヶ月後…婚約者は、東京湾で腐乱死体で見つかった。沢山おもしをつけられて…