程なくして理沙と里奈はバレー部員に連れて行かれ、真衣は強制的に校門の外に連れ出された。
「結局、動けるのは私だけなんだ」
恐らく警察に言っても信じてはもらえないだろう。
もはや現実離れした事態だ。
とにかく同級生1人に後輩1人が誘拐、自分を含め強姦されたという事実を真衣はようやく受け止めた。
さらに自分と理沙は盗撮までされている。
この分なら里奈も恐らくは…。
しかし何より、真衣はまず二人がどこに居るかを知る必要がある。
朝になったらすんなり学校に入れるけど、身を隠すことも出来る場所。
教師も全員グルになっている。
「…当直室」
当直の先生たちが寝泊まりする当直室は、玄関も教務室も近いため、朝の登校ラッシュに二人を紛れ込ませれば誰にも怪しまれない。
いかにも登校してきたように見せられる。
真衣は学校の裏側から回り込み、直に当直室を目指した。
当直室の奥の教務室では山内や他の先生、生徒の話し声がする。
真衣は無視してまず二人を探した。
見つかればどんな罰があるかと思うと寒気が走った。
当直室の戸を開け、後ろ手で閉める。
中は意外にも真っ暗だ。
(いないのかな…。)