初めて見たとき、綺麗だなと思った。
周りにあるものは綺麗と言うには難しい場所だったんだけれど。
校舎の外れにあるゴミ置き場だったし。
でも遠目なのに何て言うか…
存在が綺麗だった。
―\r
「何か用?」
わ…っ!
じっとゴミ山を見つめ続けてたその綺麗な男が気配に気付いたのかくるりとコチラに振り返って笑った
「や…別に、…何してんのそんなトコで。」
「そんなトコ…?」
まるでこっちが不審に思われる様な言い方をしやがるから俺はつかつかとそいつに近付いて突っ立ってる男の横に並んでゴミ山を指差した
「コ・レ。何かずっと見てたろ?」
「あぁ、コレね」
言って男はまた笑った
うわ…。
近くで見るとマジに綺麗な顔だ。
不意打ちに笑ってるくるからコッチの調子が何故かおかしくなる。
色素の薄い髪。
白に近いアッシュなクセに日本人離れしたその顔には悔しいけど似合い過ぎだと思った。
肌も―。
軟弱そうなその白なのに身長は俺よりも少し高い。
別に俺が小さいって訳でもね―のに…
「何?」
「え…っ」
やべ…っ。見過ぎだった…
「何かついてる?」
「えっ…、…あぁ」
桜が───
ごまかそうとそいつの髪にのっかってた桜の花びらに手を掛けると同時にまだ少し肌寒い風がぶわっと吹いて木々がザァッと音を立てて揺れた
瞬間、舞い散る花びらが雪に見えたのは
その肌寒い風、と─
花びらの風を心地よく浴びるそいつのせいだと─
春、桜の季節