学校から帰ると、女の人が来ていた…
お兄ちゃんの彼女…
私はため息をついた。自分の家なのに気を遣って、抜き足差し足で部屋に向かう。
隣の部屋なので、息をひそめて着替えた。
お兄ちゃんは彼女との結婚を間近に控えている。
もう式を待つだけで、この家にいるのもあとひと月。
私は最近…ため息ばかりついていた…
(ああ…マサヤぁ!)
え…
時々なまめかしい声が聞こえて来る
(ああん…いい)
私は耳を押さえた!
あの人…お兄ちゃんに愛されてる!
…どんなに幸せなんだろう…
(マサヤ!マサヤぁ!)前にもたまにあったけど、今は特に嫌だ!
キシキシと微かに聞こえる音が、私の胸を締め付ける!
階段を歩いて上がって来る音…
「あ…ナナ、帰ってたのか?」
「…うん…どっか行ってたの?」
「ああ、彼女来てたんだ。駅まで送って来た。」
知ってるよ…
「いつ帰って来たの?」
「…さっき…」
「ふぅん…」
なんだかまともに見れてない私。最近ずっとそう…
「あとひと月だね…」
「…ああ…」
お兄ちゃんは部屋に入って来て、ベッドに座った…