次の日。
九州から、おじさんの危篤の連絡があって、我が家は大慌てだった。
父さんと母さんは仕事から帰るなり、バタバタと身仕度している。お兄ちゃんは帰ったと思ったら、駅まで二人を送るハメになった。
「ご飯適当に食べてね。そのまま、ひょっとするかも知れないから、また連絡する」
そう言う母さんを急かす父さん。三人は慌だしく出掛けた。
夕飯は、お兄ちゃんが帰りに買って来た惣菜で済ませた。
お風呂から上がって、お兄ちゃんの部屋を見る…
また電話してる…
拗ねた顔をわざと見せた。
電話はすぐに終わった。
「なんだよ、ヤキモチか?」
後ろにお兄ちゃんが立ってた。
ドアを閉めて、ベッドに座る。
私は髪をとかしながら、そわそわしてる…
ゆうべのセリフなら、お兄ちゃんはもう冷静なのかも知れない。でも、わかんないし…
『大人だからダメ』
そう釘を刺されると、もう、甘えられないのかな…
自分の部屋なのに、モジモジしてしまう…
「こっち来ないのか?」
「え、だって…」
私は拗ねたまま、だけどお言葉に甘えた。