式をサボっていた俺たち二人が入学早々職員室で渇をくらったのは、
言うまでもない。
─
「お、ハス〜遅刻じゃん」
そう言って笑いかけてきたのはガキの頃からの付き合いの英時だった
「…小中高と…何でお前とはこう、縁がきれねぇんだよ。」
冒頭にため息を漏らしながら言ってやった
「そりゃアレだ。
区域一緒だし、俺ら頭のレベルも互角だから?」
「あぁ―っそ!」
「それはともかく、今日アイツ来てんだぜ!」
「アイツ…?」
「窓際の席の奴だよ!ホラ、初日から一回も来てねぇって前言ってたじゃん、俺。」
「…あぁ、あそこの?」
俺も一度だって見たことはない。入学式ん時は説教かっくらってそんまま帰ったから知らねぇけど、英時が言うには入学式の日さえ来ていなかったらしい。
「そーそ。すげぇぞ!クォーターなんだって!」
「?何だよソレ」
「何だよハス、知らねぇの?血3つくらい混ざってる奴の事言うんだよ。」
「へぇ…てかお前何でんな事分かったん…」
答えながら俺はハッとした。
「や、日本人にしちゃあ妙な顔つきしてっからさ、ハーフかって聞いてみたんだよ。んじゃあそう言ってた」
「お前、もしかしてそれ…」
「あ、ほらアイツアイツ!」
チャイムが鳴るとほぼ同時に英時が指差す方にゆっくりと視線を合わす
教室のドアから入ってきた相手は俺に気づくなり少し目を丸くさせ
そしてあの時と同じ笑顔で言ったのだ
「久しぶり」
笑ってんのか笑ってねぇのかひどく曖昧な表情で