「……ぁ…!…っあ、イク!!!」
段ボール箱の山に埋もれた六畳一間の部屋で、若い女声の喘ぎが途絶えた。
目的を達した声の主の女は、自分の行為をいつものように恥じていた。
「はぁ、なんだかな…」
汗で貼り付いた髪を掻き分けると、目鼻立ちのはっきりした顔が現れる。
普段の"職場"では髪を束ねて堅いイメージを崩さない。
しかし、今の彼女は携帯電話を片手に、もう一方の手には…
「もしもし修司(シュウジ)?…この…ローター?だっけ?卵みたいな、激し過ぎるよ。なんか機械的で嫌い…え、うん…イッたけどさ」
電話の相手は彼女にローターを薦めたらしいが、彼女は気に入らず、片手でもてあそんでいた。
「やっぱり修司がいいな……分かってる。やっと教師になれたんだから、今さらそっちに戻れないもん。修司も頑張って、体大事にね」
修司は彼女に"おやすみ"を言い、電話を切った。
不意に、段ボールの上に置かれた紙を読み上げる。
「南木 灯子(ミナキ トウコ)…県央高校…への配属を命ず、か…。高校生かぁ、いい子たちだと良いなぁ」
灯子はローターをカチカチしながら不安と格闘していた。
恋人との遠距離恋愛。
初めての教師生活。
そして翌日、彼女は思いも寄らない出会いをする。