「はいココア、寒かったでしょ」
灯夜は正座のまま俯いていた。
「話してくれなきゃ分からないな。盗撮のことは信じたから、証拠を掴んで、あなたの安全が確保できたら警察に連絡するから…」
灯子はどうやって彼を自宅に送り返していいやら見当がつかなかった。
「俺の…」
ココアを啜った灯子は少し驚いた。
「俺の大切な人が、あいつ等に盗撮され続けて、最後はショックで自殺した…。引っ越した先で、だったから。こっちじゃ大きな事件にはならなかったけど。」
灯子はマグカップを持ったまま手が止まった。
「引っ越す寸前は…あいつ、もうただの奴隷だった…。盗撮されてるってわかってながら、カメラがどこに在るのかも、いつ回収するのかも…まったく証拠が掴めなくて…!!悔しいよ!!!俺…」
灯子は灯夜の隣に座って、静かに撫でた。
「…警察にも、出来れば捕まえて欲しくない…俺が…………!!」
灯夜を頭から抱き締めると、彼は胸の中で声を殺して泣いた。
「そっか…強い子だね…。男だよ、高山くん」