─その時、俺にはその言葉の意味がよく分からなかった
「何だソレ」と問いてみても黒城はただ笑っただけだった
─
「メール?」
教室に向かう途中携帯が鳴った
「…ん、英時から。バイトだから先帰るって
つかまだいたのかよ…」
だから待たなくていいって言ったのに
「…へぇ。」
「?何だよそのへぇって。」
「…ま、遅刻指導も結構肉体労働だよねぇ。あ。もう5時だ」
教室に入ると俺の問いには答えず窓を拭きながら黒城がそう言った
「お前が変な事して遊んでたからだ。
…あ〜面倒くせぇ!何でこの教室こんな汚ねぇんだよ!」
「そりゃごめんね?まぁサボるワケにはいかないし後ちょい頑張ろうよ。単位もらえなくなるよりマシじゃない」
そうだ。あの生指のゴリ男め…めちゃくちゃな条件つけやがって。
しかも奴ならやりかねない。
遅刻常習犯の俺らは目をつけられてる上、今日だってあのゴリ男にOKをもらわなければ帰宅できないのだ。
「分かってるよ!」
俺は机を踏み台にし乱暴に乗っかって窓を拭こうとした。
そん時黒城が何か小さく叫んだ気がしたけど同時に足元がぐらついてよく聞こえなかった
「…ぅあっ…!」
ジェットコースターの落ちる時みたいに喉からひゅっと言葉が漏れて瞬間床に転落
しなかった。
足滑らしてから一瞬何が何だか分かんなかったけど
気づくとすんでのところで庇ってくれたらしく俺の下に黒城が倒れていた。
「わ…っうわっ黒城!」
「いたた…だから言ったでしょ?乗るなって。中身空っぽの机乗ったらバランスも崩れるんだから」
「んなん聞こえるか!
てかお前何ヘラヘラ笑ってんだよ!怪我は?!」
「へーきだって。相原見かけによらず華奢だったし」
「…っお前な!人が折角心配してやってんのに!…っいいからちょっと見せろ!」
俺は焦って少々乱暴に黒城の体を起こした
「ほんとに大丈夫なんかよ?絶対どっか打ったろ!」
「……」
「オイってめ、聞いてん「ねぇ相原。」
黙ってるかと思ったらいきなり喋るしちょっとビビって黒城の顔を見た
でも黒城は俯いていた