「…な、んだよ…」
何だか黒城がいつもと違ったから戸惑ってしまった
「ずっと気になってたんだけど
天宮って何で相原の事ハスって呼んでんの?」
は?
英時?
何で今英時が出てくんだ?
「…んなん知るかよ。ガキん頃からそうだったし…」
んな事考えた事もない。
別に気にする程の事でもなかったし…
あれ?
そういやアイツ
中2くらいまでは俺の事名字で呼んでたっけ?
…でもだから何だと言うんだ
「…ふぅん。
天宮って滅多に人の事名前で呼ばないよね?
女の子もだけど男には相原だけなんだよ。」
「だから何だってんだよ?別に意味なんかねぇだろうし、しかも名前なら昔彼女の事呼んでたぞアイツ」
そう言いながら頭に浮かんだのは辛そうな英時の顔。
女とっかえひっかえ遊んでた英時が変わったのはその彼女と付き合ってからだった。
"もう誰も好きになりたくねぇ"
彼女と別れてそう言った英時は本当に誰とも付き合ったりしなくなった。
「天宮
その彼女の事めちゃくちゃ好きだったんだ?」
グダグダ考えてたら黒城が突然言った。
「…それが何だよ…」
何だ…?
さっきからコイツは何が言いたい
「でも俺様な天宮が相原相手じゃまるで忠犬みたいだ」
…っ!
カチンとキタ
でも多分それは犬呼ばわりされた英時のためじゃなく、まるで俺が独りじゃ何もできないと笑われた気がしたからだ
自分の為
いつだって俺は自分の事ばっかだ…
今だってホラ、自分を正当化しようとしてる
気付くと俺は黒城に掴み掛かって必死で叫んでいた