「おぉ!二人ここに居たのか…まったく…探したぞ」
部長の武知が屋上まで上がってきた。
「部長…?」
「お前ら、二人で神戸に取材に行って来てくれ…震災の日に向けてうちも『ぐっと☆イブニング』で特集組むらしいから」
「はい…」
僕は、その『ぐっと☆イブニング』で読むニュースの原稿で前を隠しながら返事をした。(サイテー?)
それから、伊野を見上げると彼は硬直していた。
「???」
「おっと、伊野はいいや…沖田!お前…一人で行け」「???」
僕は、伊野と部長の顔を不思議そうにキョロキョロと交互に見つめる。
「大丈夫です!沖田だけではヤバイです!僕も行けます」伊野は、ズレかけたメガネを書け直し、キッパリ言い放った。
「でも…お前…」
「仕事ですから…大丈夫です」白い歯を見せて、目を細めて、柔らかく頬笑む伊野。
TVの前のマダーム&お嬢さん達の?をわし掴みにし、脳殺してきた営業用スマイル『メガネの頬笑み』出た〜♪
(でも、なんか…いつもより神々しさに欠ける…ような気がする…)
そう言えば…12年前…。
神戸に何があるのだろう?