彼の名は、トニーニョ・リュウザキ。日系イタリア人だ。
トニーニョは、小学三年の頃、私の学校に、転校生として来た。
その頃は、日系外国人を初めて見る子が多かった為、トニーニョは何かにつけて、ガキ大将達の格好の獲物になった。
もともと正義感が強く、学級委員だった私は、いつもトニーニョの盾になった。そして、そのうち「トニ」「リノ」と呼び合う仲になった。
同じ町に住んでいたので、中学・高校も一緒だった。
ただ、親友でいたのもここまで。中学・高校ともなると、私達は思春期。
部活・遊び・恋愛、何事にも「お盛ん」な時期になる。
私も、トニを男として見始めたのは、そう遅くなかった。
そうして付き合いだした頃、私達はトニの家で、初めて抱き合った。
息が匂い、肌がすれ合い、舌が絡まり、ほとばしる熱い体液・・・
何より、あの時トニの言った言葉が忘れられない。
【最高だ・・・君の肌より甘い物は、他にないよ・・・あぁ、リノ・・・】
気をまぎらわす為に、私は深呼吸をした。
その時、彼がゆっくりと日傘を上げ、私と目が合った。
「・・・リノ?」