「ねぇ、もう昼休み終わるよ?」
パンを食べ終わった神野が立ち上がり、気付けば5時間目開始5分前だった。
「ああ。教室戻れよ」
「桐島は戻んないの?ここにいんの?」
「次自習だったよな?俺このままここにいるわ」
「ふーん…」
それ以上何も言わずに、再度俺の隣りに腰を下ろした。
「おい?」
「オレもここにいる!」
にかっと笑い、俺の手から煙草を奪い取った。
「あ、おいコラ!返せよ」
手を伸ばして取り返そうとするが、上手く避けられた。何がしたいんだ、コイツ。
「お前、教室戻れよ。2人でサボったらまた変な漫画描かれんじゃん」
ため息混じりに言うと、神野がニヤッと笑った。
「桐島そんなの気にしてんの?読んだことある、アレ?」
「ねぇーよ。何が悲しくて自分のホモ漫画読まなきゃなんねんだ」
そう、肖像権の侵害もいいとこだ。誰がんなもん読むかって。という俺の考えは神野の一言で一蹴された。
「オレ読んだよ」
「げ、読んだの?物好きだなお前」
「うん。だってアレ、一部ノンフィクションだからさ」
は?
俺の頭に浮かんだハテナマークは答えを待たずに弾けとんだ。
俺は神野にキスされていた。
しかも濃厚な。
意識の遠くで5時間目開始のチャイムが聞こえる。