6畳半程の小さな音楽準備室。
薄暗くなった部屋の中に璃子はいた。
「よし、コンクールの練習はここまでにしとこ」
長々と続いていた個人練習を終え、璃子は帰り支度を始めた。
辺りには誰もいない。
璃子はいつもの賑やかな学校とは違う、何処か静かな雰囲気に不思議な感情を抱いた。
「もう、皆帰っちゃったのか…」
少し寂しげに落ち込む璃子。
そして窓の外を見れば、夕日は西の空に沈もうとしていた。
冬の季節の為、辺りが闇に変わるのは早い。
暗くなる前に急いで帰ろうと、鞄を持とうとしたその時だ。