「りょうくん…りょうく…」
「涼くん!ぼんやりしてたらだめよ。先生の話聞いてた?」
「へっ…?」
「もぅー、入試まであと半年しかないのに。志望校ちゃんと決めた?」
「せっ先生…今俺ら…」
「なぁに?寝ぼけてるの?大事な話になるとすぐ上の空になるんだから」
渡辺涼、18歳。六ヶ月後に大学受験を控えた立派な受験生である。もちろんそのことは十分自覚して勉学に励んでいた。
しかし突然僕の面倒を見てくれていた家庭教師が辞めてしまった。 そしてその人の代わりに僕の家庭教師となったのが先ほどの「彼女」
香織先生だ。
残念なことにどうやらさっきのは夢だったらしい。
というか香織先生が家庭教師になって以来毎日同じような夢をみる。
それもそのはず、これほどまでにかわいくてしかも知性を兼ね備えていて、そして…天然だった」