ザァ――――
その日外はすごい雨だった
「陸斗」
そう呼ばれ声のする方を向いた
「どうだった?」
複雑な顔で声の主を見上げる
「ん、やっぱ帰れそうにないから明日にするって」
その言葉に俺からホッと一息漏れる
「そっか。それのが正解だよ。こんな嵐で無理して帰ってこられた方が心配だし。
てか父さん達も頑固だよなぁ」
「心配してるんだよ。俺もバイトで遅い日とかあるし、陸斗が一人で家にいると思うと」
「だからなんでそこで心配されなきゃいけないんだよ
まるで兄ちゃんがいなくちゃ何もできねぇみたいにさぁ」
そう文句を言ったら兄ちゃんはクスっと笑って俺の隣に腰掛けた
「そーだね。
ま,せっかくの夫婦水入らずなんだしもっとゆっくりしてけばいいのにとは思うけど
長期休暇なんてもう取れないだろうしな」
「水入らずって…あの親にそんな言葉想像できない…」
だっていっつもぎゃんぎゃん喧嘩してるし
「そう?じゃ頑張って想像してみてよ」
「…」
思わずおぇっとなった。
それを見て兄ちゃんが笑った
こんな調子でいっつも俺は兄ちゃんに遊ばれる
兄ちゃんは俺で遊ぶのが趣味なんだきっと
父さん達が旅行に行くと決まった日もゆっくりしといでとかって物凄い嬉しそうだったし
兄ちゃんは優しいし嫌いじゃないから別にいいんだけど
俺ばっかりからかわれてなんだか悔しい
…でも悔しいのはそれだけじゃない