いきなりでびっくりした
「なっなんだよ潤兄!びびるだろっ」
「お前は好きな子でもいるのか?」
「なっ…どーでもいいじゃんそんなん!」
「言え」
う…っ
兄ちゃんって時々鋭い目して俺を睨む
「いるけど…」
渋々答えたら兄ちゃんはふぅんと促した
「な,なんだよその反応…
てか兄ちゃんこそどうなんだよ!」
「何が?」
「好きな人!!」
いるの?って聞く前に兄ちゃんはあっさり言った
「いるよ」
兄ちゃんいつもみたいに笑ってない
俺の目を見てもう一度ハッキリ答えた
「いるよ。好きな子」
「そ,なんだ…付き合ってんの?」
やばい
今ちょっとドキドキした…
思わずしどろもどろに質問をぶつける
兄ちゃんはちょっと沈黙したけどしばらくして口を開いた
「その子ね好きな子いるんだって」
さっきのコーヒーに手を伸ばしながら兄ちゃんは寂しそうに言う
「そっか…兄ちゃんその人の事大好きなんだ…」
何で?って聞かれてだって寂しそうだと言ったら兄ちゃんは寂しく笑った
「うん。大好きで大事。自惚れ言う訳じゃないけど他の誰に好かれても肝心な子に振り向いてもらえないなんて悲しいよね
側にいたのはずっと俺なのに」
大好きだと言うとき兄ちゃんは凄く優しそうで本当に寂しそうだった
俺は兄ちゃんにそんな顔させたくなくて言葉を探して…
「奪っちゃえばいいんだよ!!」そう言った
「大丈夫だよ!!兄ちゃんなら絶対勝てるって!
兄ちゃんの方が絶対その人大好きだし!それに兄ちゃんの方がずっと前からいたのに捕られるなんて悔しいじゃんか!!」
何の保証もない言葉
俺は兄ちゃんに笑ってほしかっただけなんだ
笑ってほしかっただけなのに
「奪ってもいいと思う?」
「うん!!」
「本当?」
「本当!!」
「奪っていいんだ」
「だから何回も言ってん―――――」
瞬間視界がぐらついた
背中に圧迫感がすると同時に肩に重力がかかった
―奪っちゃおうかな
そう言った兄ちゃんは確かに笑ってた