翌朝、母に寝不足気味じゃないかしらと二人は心配されたが、涼香がいつも通りを装ったので、危機を脱した。
登校の最中、涼香が謝った。
「涼、昨日はごめんなさい」
涼は意外な態度に目を丸くした。
「してって言ったのも自分だし、あんな…その…喘ぎ声出しちゃったし……私たちの関係がバレたら全部私の責任だから。本当にごめんなさい」
「そんな深々と頭下げられても……俺がスズにヒドいことしたのは事実だから」
「ううん、違うの。涼は全然、すごく良かった……あ…その…うん…」
思わず口を突いて出た言葉に涼香は自分で照れた。
涼は笑った。
「俺さ、次はちゃんと避妊するから。あとはスズが声を小さくすれば何も問題無いよ」
「そんな…」
「我慢したくないのはお互い様だから。したくなったら、言ってくれ」
「もし、昨日が危険日だったら…私たち本当に大変なことしてた…」
「だから、ああいうのは、昨日で終わろう。次からは勢いでしないことにして。やっぱり姉弟だから愛し合っちゃいけないっておかしいよ」
その言葉を聞いて、涼香は肩の荷が降りたようだった。
「スズ。大変なことだからこそ、お互いに知らなきゃならないと思う。でもお互いの気持ちが分かり合えたら、ただの恋人だよ。俺たち」
「涼。やっぱり私、あなたが好き」
涼香は手をつないだ。
しかし、家の中にまだ二人の知らないことがあり、それがまたしても二人の関係を引き裂こうとは、まだ知る由もなかった。