8月も終わり、蝉たちの鳴き声が止むころ、僕は人気のない神社にいた。
木々に囲まれた涼しいこの場所で、僕は境内の階段で大の字に寝転んでいた。
「あぢぃ〜〜っ!!」
太陽に手を伸ばして、団扇を仰ぎながら、ぼーっとしている。
図書館は人でいっぱいだし、文化センターは休館日。クーラーの効いた場所を探してぶらついていたらここへ辿り着いた。
神社の敷地内にある水道へ行き、軽く水浴びをすると、また階段へ戻る。
「よかったら、下の小屋で休みませんか?」
僕は、驚いて身体を起こした。タオルがベチャッと股間付近に落下した。
「す、すす、すいませんっ!」
「えっ、いや、あの…」
「何か拭くもの持って来ます!」
そう言うと、巫女服を来た長い髪の女の子は階段を駆け降りた。
「きゃぁっ!?」
ズテンと音がし、慌てて彼女の元へと寄る。彼女の肩を抱くと、顔を赤面させ、
「ごめんなさい…」
と、小声で言った。
「大丈夫?歩ける?」
「はいっ!」
彼女は元気よく立つと、今度は少しよろめきながら僕にもたれてきた。
「おっと、マジで大丈夫か?」
苦笑しながら、覗き込むと「はい」と答えてまた歩き出した。
「そこで待っててください」
明るい笑顔を振りまくと彼女は階段の下へと消えて行った。