涼香が気がついたのは朝方だった。
ギリギリで引き抜いてくれたらしく、涼にナカ出しされた時のような感覚は無い。
なぜあんなに気持ち良かったのか。
涼はいなかった。
トイレだろうか。
涼香は、はっと気がついて目が冴えた。
ここは父親の寝室だ。
そしてさすがの父親も寝ていた。
気絶した涼香を涼のいる部屋にまでは運べなかったらしい。
「どうしよ……涼が起きてたら…」
恐る恐る涼の待つ部屋へと向かう。
音も立てずに扉を開けると。
涼はベッドで寝ていた。扉とは反対に身体を向け、寝ていた。
涼香は安心し、ベッドに戻った。
思えば奇妙な話だった。
実弟との恋愛関係。
それを母親にバラすと脅し、肉体関係を要求する父親。
気が変になりそうだ。
恋愛が肉親間で否定されている理由の一つに、家族崩壊の引き金になるということが挙がるのだろう、とぼんやり寝ぼけ頭で考えながら涼香はまた眠りについた。
翌日の学校で、引き金はとうに引かれていたことを涼香は知ることとなる。