千代さんが子供を産んでから、二年経ったころ、僕は中学校を卒業した。
そして、少しでも収入を得るため、三つのバイトを掛け持ち、一生懸命に働いた。
朝は新聞配達、学校が終わってからの夕方は倉庫、そして、真夜中にコンビニで働いた。睡眠時間は、たったの二時間程だった。
また、高校も就職率の高い、工業高校に通った。
そんなある日、コンビニのバイトに、一人の女性が入ってきた。名前は矢野彩華。
矢野さんは、朝から昼のシフトだったが、交代時に毎回会った。
そして僕は、いけないと思いながらも、矢野さんに惹かれていった。
千代さんとは、長期休暇の時しか会えない。しかも、毎日ハードなスケジュールで、精神的にも参っている。誰か、癒やしてくれる人が欲しかった。
アドレスを聞くのは簡単だった。バイト名目で訊いてみると、すぐに教えてくれた。
そして僕は、暇さえあればメールをした。学校の授業中でも。
矢野さんは31歳の人妻で、小学生の子供までいた。
僕は諦めかけた。
最後に、ダメもとで『個人的に会いませんか？』とメールした。
時間が少し空いたから、向こうも相当悩んだのだろう。しかし、会う約束をしてくれた。
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