僕は待ち合わせ当日、念の為に財布の中にコンドームを2、3個入れた。
そして待つこと5分、バイト終わりの矢野さんが来た。
「ごめんなさい」矢野さんは謝った。
「いや、いいですよ。僕も今来た所です」僕はベタな返事をした。
歩いて移動している間、僕は矢野さんの匂いに酔っていた。シャンプーのいい匂いがする。香水嫌いな僕は、シャンプーの匂いがとても好きだった。あれはたぶん、ダ○の匂いだった。
向かった先は、映画館。行く場所が思いつかなかったので、なんとなく行ってみた。
その後は、レストランで食事。と言っても、洒落たものじゃなく、ファミリーレストランだった。
食べ終わると、僕は帰ることにした。初日はこれぐらいで、ちょっとづつ距離を縮める、そう思った。
しかし、矢野さんはこう言った。
「家、来る?」
僕は、とっさの事に驚いたが、「行きます」と言った。
僕らは、矢野さんの家に行った。
「旦那は出張中だから、上がって。子供が二階に寝てるから、一階のリビングで待ってて」
僕は言われるまま、リビングのソファーに腰を下ろした。
数十分後、矢野さんがリビングに来た。風呂に入っていたのだ。
「入る?お風呂」
僕は断った。