私は、中学校卒業を機に生まれ育った(かなりの都会で住みやすかった)土地を離れ、なんとも遠い田舎の高校へと進学した。
原因は両親の離婚。
お父さんの不倫がバレたとか、お母さんが職場の飲み会に頻繁に出入りしてるのを、お父さんがこれまた不倫と勘違いしたとか。
とにかく子供みたいな喧嘩の末だった。
「私はこうなることなんて分かってたけどね」
得意そうに言うのは双子の姉、瑞穂(ミズホ)だ。
「雪帆(ユキホ)はもっと大人になんなきゃダメね」
「っエラそうに…」
からかわれている理由は、離婚すると聞いてから私が泣いてばかりいることだった。
「でもホントだよ雪帆。アンタ体が弱いからあんまり無理しちゃダメだけど、これからは自分でバイトしなきゃ。もうお父さんに服とか買ってもらえないんだから」
こんなセリフを聞いたら私はまた、泣き出してしまうのだった。
幽霊が出たなんて話もある、お母さんの知り合いの家に着いたのはすっかり夜だった。
そういう風に見てしまうと、本当にお化け屋敷に見えてくる。とても大きい木造建築の家だ。
中にはぼんやりと灯りが見えるが、家の外には大きな木が何本もあり、風に揺れて不気味だ。
後ろを振り向いても、通って来た道以外は田んぼ。
バス停まで何十分あるくことやら見当もつかない。
(高校に進学したら勉強と一緒に恋愛も頑張りたかったのに…)
人間がいないのでは無理である。