「俺、晴妃のコトが好きだ」
「へ…?」
幼なじみの鮎の家で勉強していたあたし。
歩がいきなりそんなことを言うから、あたしはつい拍子抜けた声を出してしまった。
「ぁ…鮎、好きって…あたしを?」
念のため聞いておく。
「他に誰がいんだよ」
「ぇ…と…うん。冗談…でしょ?」
しかし、鮎の顔は真剣だった。
……まじかぁ…。
どうしよ…
あたし…友達としか見てないや。
「鮎…その……あたし…」
「晴妃…お願い」
鮎は上目遣いであたしを見る。
ただでさえ可愛い系の鮎にそんな目で見られると…
困った。
あたしはどうすれば…
鮎との仲が崩れるのは嫌だけど…でも、やっぱハッキリ言った方が良い…よね…?
鮎は真剣なんだから。
「あの……鮎?」
「うん?」
鮎…そんな可愛い目であたしを見ないで……
「あたし、鮎とは…つき合えないよ…。ごめんね。」
鮎の表情が一瞬にして暗くなる。
……鮎…ホントにごめんね…
「なんで…?」
「…やっぱ…友達としか見れない…かな。ごめん。」
「…っ」
えっ…?
「…っく…グスっ…」
泣いてる…の…鮎…
「あ…鮎っ……ごめんっ!ごめんねっ!」
あたしは鮎に駆け寄った。
どうしよう…っ
まさか泣くなんて思ってなかった。
あたし、涙に弱いんだよね…。
とにかく泣き止んでもらわないと…!!
あたしは素早くハンカチを出して鮎の顔をのぞき込んだ瞬間……
「えっ…!」
鮎は笑っていた。
「なっ……鮎!まさか嘘泣き!?」
「ふははっ♪晴妃は優しいね!ねぇ!俺とつき合ってよ!」
は…?なに?なんか…キャラが…ちが……
「きゃあっ!!」
いきなり鮎があたしを引き寄せた。
かっ……顔が近いぃ…!!
「ねぇ…つき合ってよ」
「だ…だからっ…無理って言ってるでしょ!っていうか顔近いから!離して!」
「やだね」
あたしは無理やり引き離そうとしたが、腰に回された鮎の腕が離そうとしない。
不意に近づく鮎の顔。
「やっ…嫌!!」
あたしは顔を背けた。
しかし、鮎に顎を持たれ、固定され、逃げ場がなくなった。
「いやっ…やめ……んっ!」
押さえつけられた唇。
そして、長いキスはやがてディープキスに変わり…
「…んんっ…はっ…んぅっ」息をする間もないほど激しいキスが10分間も続いた。
「はぁっ…ん…はぁ…ハァっ……」
長い長いキスが終わった頃には、あたしは息を切らして倒れ込んでいた。
鮎はそんな晴妃を見て、余裕そうに微笑んでいた。