舞い落ちる粉雪…満面の白銀世界の中、幼い俺はいた。
『あのねー、おおきくなったらねぇ?
しゅんのおよめさんになるんだー!』
「ほんとうに?」
『うん!だって…』
日の光の加減で相手の顔までは見えない。
それでも俺は嬉しそうに笑っていて。
とても、とても、幸せそうだった……
――――――――――――
「………っはぁっ!!はぁ、はぁ…」
まただ。またあの夢をみた。
これで何度目だろう、あの夢を見るのは。
「…っ…。」
ふと手を顔にあてると、自分が泣いているのがわかる。
夢の中の自分はあれ程幸せだったのに、
起きれば胸が苦しくて切なくてはち切れそうになる。
「…んだよ…誰なんだよっ!!」
壁に拳をたたき付ける。それでも胸の痛みは消えるどころか増す一方で…
顔もわからない、夢の中の相手が憎くて憎くて愛おしくて。
俊は涙を右手で拭い、カーテンを開けた。
「………あ…。」
その朝、季節外れの雪が降った。
恐らくそれは、出会いの予兆…