『―…というわけだ。文化祭まであと1週間、頑張れよ。』
今は朝のHRの真っ最中。
バスから降りて猛ダッシュした俊は、なんとか遅刻は免れたものの
体力を使い切り、ぼうっと窓の外を眺めていた。
空に広がる灰色の曇り空…憂鬱。
『さてと…本当なら今、転校生を紹介したかったんだが…』
担任の山崎の声が、ふいに耳に入る。(…転校生?こんな時期に?)
『どうや(ドタドタドタ)まだ登校してな(ドタドタドタ)みたいだから』
(…ん?)騒がしい足音がこちらに近付いてくる。
『とりあえ(ドタドタ)今朝のHRはこれで終わ…』
【ガラッ】
その時急に教室の扉が勢いよく開いた。
現れたのは淡い栗色の頭…
『すいませんっ!道に迷って…遅刻しましたっ!!』
そう言ってあげた顔。真ん丸の透き通るような青い瞳と目が合った。
そう。紛れも無いアイツは…
【チクタクチクタク】
止まっていた時間。
【チクタクチクタク】
この時、歯車が静かに動き出した…―。