3年D組の教室は時期外れの転校生の登場に湧いていた。
『えーっと、河野翔太です。
3月3日生まれのB型で趣味はゲームと映画鑑賞。
あ、彼女はいませーん!
ちなみにマル秘スリーサイズは…』
「お、それは気になるな。」
山崎が冗談ぽくそう言うと笑いが起こる。
くだらない…そう思いながらも、河野という転校生から目が離せない。
今朝バス停で俺を呼び止めた、まさしくあの男が目の前にいる。
(アイツ…映画行くんじゃなかったんだな…)
そんな事を考えている間に、転校生は自己紹介を終えようとしていた。
『―…というわけで、俺の自己紹介はおしまい!
D組の皆さん、仲良くしてやってくださいね!』
そう言うと、ふわりと笑顔をみせた。
とたん、騒がしかった教室が静まり返る。
周りがはっと息をのむのがわかる。
中性的な顔立ちをくしゃりと崩して子供のように笑う…
不覚にもその時、
綺 麗 だ と
そう思ってしまったのは
俺だけの秘密…。