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SNOW DROP〜戯〜

まよ子  2008-05-08投稿
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『…くん。黒崎くんてば。』
(…へ?)

隣から呼ばれていることに気付き我に返る。
ふと左を向けば、悪戯っ子のように笑う隣人と目が合う。
そのままヒソヒソ声で河野は続けた。なにせ今は授業中である

『今朝は学校、ちゃんと間に合った?』

痛いところをつかれる。確かに自分は間に合ったが、
お陰で河野は遅刻したようなものだ。

「…ま、まぁ…なんとか。」

『クスッ、よかったね。でもさー、この通り俺は遅刻しちゃったけどネ。』

グサッ…

『道に迷う少年を一人置いて行っちゃうなんて酷いよなぁ。』

「そ、それはお前が!!」

思わず大声をあげてしまいハッとする。
周りの視線が集まるのがわかる…俊は真っ赤になってうつむく。

しばらくして負けじと俊は再び話しかけた。

「………あれは、お前が映画のチケットなんか持ってたからだろ?」

このままコイツに誤解されているのも、なんだか胸糞悪い。

『あぁ、アレかぁ。本当は学校サボって朝行こうかと思ってたんだけどね。
元々、学校は帰りのHRに間に合えば良いと思ってたから…でもやめたんだー。』

あまりのマイペースぶりに唖然とするが、それより気になる事を聞いてみた。

「なんで急にやめたんだ?」

そう言った途端、この妙な転校生はニッと笑い、こう続けた…


 黒崎君に会ったから。 


「はあっ!!??」

先程よりも大きい間抜けな声が教室に響く。
気付いた時には手遅れだった。

『黒崎!質問があるなら手を挙げて言え!先生ビックリするだろ!!』

現国の先生がそう言うと、教室中で笑いが起こった。

「す、すいません…」

俊は小さくなって河野を睨みつける。
そこには悪びれるどころか、涙を流してケタケタ笑う確信犯がいた。


(…変なやつ……)

俊は河野を横目で見つつ、深いため息をついた…―

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