「あれから何年かなあ。もうトシだからなあ、上れるかなあ…」
ウソ!?
おじさんは柵を越えて、葉っぱが重なって崩れかけた段々に足を踏み出した。
うわ…付き合いきれないよ、家に戻っちゃダメかな…
「わ!」
カッコわる、滑ってる…
「今笑っただろ?」
笑顔に誘われて私は吹き出してしまった…
サラサラと笹が揺れている…
いつの間にか…私も後を追って懐かしい段々を歩いていた…
最近こんな所で子供は遊ばないんだろう…人が歩いた痕跡は微塵もない。サンダル履きにスカートの私は大いに苦労した。
二人とも衝動的に山に入ったようなもんだから、ひどく場違いな服装…
しばらくすると、椎茸の組木が現われた…
「あ〜、ここ見覚えがあるなあ」
おじさんは懐かしいんだろうけど、私はちょっと複雑な気持ち…
あれ…足がうまく動かない…あ!!…
「きゃ!」
ドサ!
完璧な尻餅をついた!
「アハハ…大丈夫か?」
「いったあい…」
組木を背もたれみたいにして、私は立ち上がれない…
おじさんは私に近付いて、頭をくしゃっとした…