カァーン!!
爽快な音が、早朝のグラウンドに響く。
彼の名は、蒼風直哉(アオカゼ・ナオヤ)。
野球部で1・2を争う、秀才バッターだ。
今日も明け方から、同級生のピッチャーとともに、打撃練習をしていた。
「おぅ、ナオ公!おはようさん!」
グラウンドへ走ってきたのは、直哉の先輩・金剛雄次郎(コンゴウ・ユウジロウ)。
直哉と並び、剛腕ピッチャーとして知られている。
「あ、ゴウ兄貴!おはようございます!」
「どうしたんだよ、えらい張り切ってんな、朝っぱらから」
「あれ、兄貴、知らないんすか?僕、次の練習試合から、?番になるんですよ」
「へぇーマジかよ!スゲェじゃん!直哉も強くなったなぁ。昔は、俺の球も打てなかったのによ」
「そこは変わんないですって。兄貴の球には、今も敵わないっすよ」
今度の練習試合で実力が認められれば、地元の大会への出場権が得られる。
学校の期待は、直哉や雄次郎に集中していた。