ちさとは今日仲の良い後輩の家に遊びに行く予定だ。
何でも両親が出かけて一人になるから淋しいので来てくれ、ということだった。
サークルの後輩ののぞみとは合宿以降とても仲良くなり、長電話やメールはもちろん、しょっちゅう一緒に遊んでいた。
あるときから、ちさとはのぞみに特別な感情を抱いている自分に気づいた。
のぞみが他の子と仲良くしているとすごくモヤモヤする。つい何かと理由をつけてのぞみにちょっかいを出してしまう。そしてそれに気づくと途端にのぞみに話しかけられなくなる。
ちさとは自分の気持ちがよく分からないでいた。
『ちーちゃん先輩!』
のぞみの地元の駅に着くとのぞみが改札前で待っていた。
『遅れた?ごめん』
『大丈夫ですよ。行きましょう!』
ちさととのぞみは家へと歩き出した。
家に着くとのぞみの部屋に案内された。
シンプルにベッドと机だけが置かれていた。しかし無駄なものを置かないところにのぞみらしさを感じた。
『飲み物持ってきますね』
のぞみは台所へ消えていった。
よく冷えたアイスティーを持ってのぞみが帰ってきた。2人でそのアイスティーを飲む。
(2人きりなんだ…)
そう思ったちさとは何故か緊張してそのアイスティーを一気に飲み干してしまった。
『のど渇いてたんですか?』
のぞみに聞かれ、ごまかせず適当にあいづちを打つ。
『もう一杯持ってきますよ』
戻ってきたのぞみは手に何かを抱えていた。
『卒業アルバム!見たいって言ってましたよね?』
2人でベッドに座り、卒業アルバムを眺めだした。
『これ、体育祭のときので…こっちは文化祭の…』
1枚1枚ていねいにのぞみが指をさしながら説明してくれた。
写真を指差すたびにのぞみとの距離が近づく。そのたびに鼓動が早くなった。
さっきから何だかすごく体が火照る。すごく人恋しい。のぞみの近くにいるからだろうか。
『あ、先輩!これ…』
ふいに呼ばれのぞみの方を振り向くと,のぞみもちょうどちさとを見返し,唇が触れた。
『ごめん!!』
突然のことにびっくりし,ちさとは口を離した。
『ちーちゃん先輩なら…いいですよ…』
のぞみはそう言ってもう一回唇を重ねてきた。
突然のことにちさとはびっくりしながらも,唇を離せないでいた。