百合さんも軽く会釈した。女将は、皆さんに「こちらからも宜しくお願いします。ケガや病気をしないで、しっかり舞台に励んで務めて下さいね。」と軽く挨拶をした。百合さんは、ジョーの側で忙しく世話をする。女将は、嫉妬を焼いた。ジョーは、殺気を感じ、振り向くと、あの龍と同じ鋭い目付きでジョーを睨んでいたのだ。「…愛華。」女将は、他のお客様の事もあり、一旦楽屋を出た。お昼時に、一段落が付いた頃、女将から食事が持てなされた。ようやく、一息付いた頃は、夜になってしまった。親父が「ジョー、一杯付き合わないか?」と誘いバーに向かった。二人ともテキーラを飲む。しばらく沈黙が続く。やっと口を開いたジョーは、「…親父‥俺、本気で惚れた女が出来た。もう百合とは、ケジメを付けたい。」ジョーは、相手が誰なのかは言わなかったが全てを話した。「そうだったのか。お前を受け入れてくれる人がいたとは…」そこへ、女将が来た。二人に気付き、会釈した。ジョーの眼差しは、男が女に惚れた目で女将を見ていた。親父は、気付いた。「まさか、お前…惚れた女というのは…」「あぁ…、女将の愛華だ…」ジョーは一気にテキーラを飲み干した。