汗でしめった首筋に、男の息がかかり、エリカは震え上がった。
隣に視線を動かす事さえ出来ないが、おそらく仕事がえりの中年のようだった。整髪料の匂いや、手の骨太なごつさがそれを感じさせる。
しかし手のごつさとは裏腹に、胸元を包む指先は微妙な動きで、繊細な振動を与え続けている。
勇気を出して、エリカは押しやろうと男の手首を掴んだ。
すると男は思いもよらない素早さで逆にその細い手首を掴み、自分のもとに引き寄せた。
「きゃ…」
叫び声をあげる間もなく男に抱き寄せられ、顔を男の胸に押し付けられたはたから見れば、援助交際をしている二人にみえるかもしれないが、エリカは死ぬほどの恐怖にまったく抵抗出来ずにいた
男がささやく。
「大丈夫…怖いことはしないよ。君があんまり無防備で綺麗だったから…ついね」
「離して」
男は肩を抱くようにエリカを引き寄せたまま、優しくエリカの耳たぶにキスし、そのまま耳の中まで舌をのばし、くすぐるように舐める。
あまりの恥ずかしさと気持ち悪さと他の人に見られはしないかという怖さで固まってしまう…が男の執拗な舌先に、それとは違うもう一つの感情が過ぎった。
真っ赤になったエリカの頬を強引に振り向かせ、男が軽く唇を舌でなぞり…ブラウスの上から重たいくらい実った果実を柔らかく揺すった。
「ん…っや…」
ほんの少し開いた唇から男の熱い舌がヌルッと滑りこみ、エリカの舌に軽く触れ…引き上げる。
強引さと繊細さ、両極のなかでエリカは翻弄されはじめた。
男がここまで大胆なのはこのボックス席が殆ど死角だからなのだろう。
…とはいっても人がいるわけで、エリカの羞恥心は高みまで昇っていた。
男の手が、ついにブラウスの中まで滑り、みずみずしい肌に直接触れた。ビクッと皮膚が踊る。
「綺麗だね」
小さな称賛の呟きのもとブラがグイッ上に持ち上げられ、中からブルンッと締め付けを解かれた乳房が飛び出した。男はすっかり抵抗する気力のなくなったエリカのブラウスを捲くりあげ、車内の空気に晒してしまった。
「いやっ!」
か弱く泣くエリカを慰めるように癖毛を弄び、周囲から見えぬよう、男は自らの鞄でブロックした…鞄の内側であらわになった乳房はブラに押し潰されながらも白く輝き、乳首は小さく桜のように色づいている。そして与えられ続けた刺激のせいで、二粒とも硬くツンと上を向いていた。
「立ってるよ、見てごらん」