男は私を抱え車へと向かう。背後に忍び寄る人影には全く気付かずに。
その瞬間、鈍い音が鳴る。男の頭に何かが当たったのだ。男と奈美は地面に倒れ、その後ろには奈美と同じ制服をきた女の子が息を切らし右手には教科書がびっしり詰った学生鞄を握りしめていた。
ようやく目が覚め、柔らかいベッドに横たわっている自分に気付いてパッと起き上がる。
(ここ、どこ?さっきの男は?)
部屋を見渡すと男と言うより女の子の部屋という感じだった。
扉の向うから歩いて来る音が聞こえる。私はドアの方を不安そうに見つめた。
ドアが開き私と同じ制服を着た女の子が現れた。でもうちの学校にこんな綺麗な人いたっけ?私はつい見とれてしまっていた。
「良かった、気がついた?どこか痛い所はない?」
彼女はそう心配すると私の横に腰掛けた。
「あッうん、大丈夫。あなたは誰?男は?」
「今頃警察のお世話になってるんじゃない?」と一瞬笑うと話を続けた。
「私の目の前で男があなたを連れ去ろうとしてたから思いっきりそいつの頭を鞄でぶん殴ってやったの。私今日からN中学校に転入して来たの、桜井亜梨華と言います。よろしくね、あなたの名前は?」
「私は大沢奈美。助けてくれてありがと」そっか今日なりみと学校さぼって遊んでたんだ、どーりで知らないわけだ。)
「どういたしまして。じゃあ今日から私達友達ね」
「いいょ、命の恩人さん♪」
「やめて、ありかでいいょ」
照れ笑いがまた可愛いな‥
「ありかん家泊ってもいい?」
「うん、いいょ」
その日から私達は友達になった。でも私だけが友達以上に亜梨華を好きになっていた。
この気持ちは伝えたいけど、亜梨華には彼氏がいたから伝えられずにいた。
好きになって1年もたってくると当然いけない妄想もしちゃうわけで、ベッドでは毎晩彼女の事を想ってはエッチな妄想にふけっていた。
学校の帰り道、亜梨華となりみと私はマクドナルドへ行くことに。
(はぁこの恋誰にも相談できないなんてつらすぎるなぁ‥‥。)
「はぁ‥。」
「どーしたの?ため息なんかついちゃって」成実がバーガー片手に聞いてきた。
「いやぁ。何でもないょ」
「何か悩んでる事あるの?あッ!もしかして恋煩い?それなら亜梨華に任せて☆」
「おッ!やっと好きな人できた?」ニヤけて私を見る。