タクシーの中で、青年と菜月の会話が弾む。彼は、29才。名刺を菜月に差し出した。「舞踊家・葉月一弥」菜月は、彼の名前をどこかで聞いたことがあるような…。思い出せない。菜月は、老舗の呉服屋の出戻り娘「神無月菜月」40才。お互いにに踊りをしていることがきっかけで好意を持った。菜月は、夕食の買い物があり、関内で降りる際、割勘のタクシー代を支払をしようとした時、一弥さんが、「今日は僕が持ちますよ。今度よかったら食事に誘っていいですか?連絡先は名刺に…」菜月は困った。一弥さんは、運転手に「伊勢佐木町まで」と告げ、菜月は、この場は甘える事にした。「今日は、どうもありがとうございました。助かりました。」お礼を述べ、頭を下げた。一弥さんは、「じゃ!またね!」と手を振り、タクシーは伊勢佐木町に向かった。菜月は、買い物を済ませ、歩いて自宅がある伊勢佐木町に帰った。お店には、お客様がいる様子。お父様が応対している「ただいま!」菜月は声をかけた。「いらっしゃいませ…。あっ!一弥さん!えっ!」菜月は驚いた。一弥さんも驚いた。お父様が「菜月、お知り合いだったのかい?」菜月は、一弥さんからお世話になった事を話をした。