観覧車は想像以上にゆっくりと動いた。
「10分だとこんな感じなんだね。」
「のろいなぁ。」
啓一は思わず笑った。
仕事に追われるウチにここまでゆっくりとした時間を過ごすことを忘れていた自分に気付いたからだ。
「……俺たちの子どもが出来たらまた来ようか?」
「子ども…。」
真由子は俯いた。
「どうした、また来ようよ。」
「啓一は子ども欲しい?」
「え?」
これは余りに予想だにしていなかった反応だった。
「真由子…要らないのか?」
「うん。私、二人きりが好い。」
初めて聞く真由子の意見、主張かもしれない。
啓一は改めてたじろいだ。
「お、俺は真由子の好きなようにして構わないよ。」
「ずっと二人で居よ。ずーっと。」
真由子は啓一にキスし、そのまま舌を絡ませてきた。
驚いている啓一はされるがままだった。
「私、啓一だけを愛してる」
その言葉に啓一は油断し、キスに拍車をかけてしまった。