お互いの舌をゆっくり抜き出して、二人は見つめ合った。
「……真由子。」
言葉に続きは無かったが、とても今まで子供扱いしていた妻には見えないほど真由子は色っぽく見えた。
「啓一になら私、何でも許せる。啓一は、私と何かしたい?」
とてもいやらしく聞こえたが、先ほど子供はいらないと言った女性に行為を求めるのも難しいと啓一は悩んだ。
「何かって……。」
「私たちが結婚して、まだしてないことってなんだろ…。」
真由子が何を求めているかは分からない。
まさか不倫がバレたということは無いだろう。
「例えば……外泊とか。」
「なら今日するじゃないか。」
「ん〜ん、二人別々の場所に。」
「それじゃあ結婚した意味無いだろ。」
真由子の瞳が急に真剣になった。
「でも啓一、最近私に飽きてきてる。」
ドクンと心臓が脈打つ。
やっぱり不倫がバレてる?
「私がいない生活を思い出してよ。」
「ヘンなこと言うなよ。」
「思い出して。」
心臓が脈打ち脳が回転する。
真由子は何を言いたいのだろう。
啓一が考えてもその答えが出るはずもなかった。
「実は来週一週間、友達と二人で旅行に行こうかと思うの。」
「…あ〜……なるほど。うん、楽しんできな。」
「一週間もいないのに大丈夫?家事も…ご飯だって作らなきゃなのに?」
「真由子。仮にも結婚式でキミを幸せにするって誓ったわけだから、それなりのことは自分でやれるし迷惑かけないつもりだよ。」
真由子は意外そうな顔をしたがすぐ笑みになって言った。
「頼もしい!じゃあ来週一週間行ってくるね。」