‡見つめる瞳‡
いつから俺は、あいつの虜になったんだろう?
田辺 欄 十七歳
俺があいつと出会ったのは、三ヶ月前だった。
夜の学園内を散歩していた時、薔薇の庭園に一人の男がいた。そいつは、男子寮の副長の、赤月 竜同だった。
女子には、大人気だった赤月は、男のくせに色白で、唇は紅色、細身なのに、ガッチリした肩幅。
それがあいつの魅力だった。
「あぁ、欄か…、どうしたんだい?」
紅色の唇から発っせられた声は、低いが透き通った声だった。
「べつに、散歩だ…。」俺は、冷たく言った。
と、その時、赤月が俺を押し倒した。
ドサ…。
「ずいぶん僕に、冷たいな…。」
「ちょ、離せよ!」逃げようとするが、あまりの力で、逃げられない。
こんな俺よりも、細身なのに一体、どうやればそんなに力がでるのだろうか?
「逃がさない…。」赤月は、漆黒の黒い瞳で俺を見つめた。
頭がくらくらした。
薔薇の匂いのせいだろうか?
はたまた、こいつのせいなのか?
俺は今日、こいつに囚われてしまった。
禁断の世界へ
引きずり込まれた。入ったら二度と出れない闇へ…。
続く…。