始まりはいつも唐突だった。
下に、つい4ヶ月前、結婚したばかりの両親がいても気にしない。時間も決まってない。どちらの部屋でヤるかも関係ない。
いきなり掴みよせられたときはもう、強く顎を下から上げられ噛みつくキスが始まっていた。
「………ッ!」
息苦しさと苛立ちをいっしょくたにして、理央は、覆い被さる肩へ拳を打ち付ける。
もちろん、鉄の固さが返るだけなのはとっくに学習ずみだが、ただの言いなりは腹の虫が治まらない。
「オニイチャンの好きなところはここと…ここと」
「………んっ!」
乱暴に口付けたかと思うと、浅い啄みに変えながら仁の長い指が下肢へ降りてくる。
「は………」
わざとらしく唇を重ねたまま、薄い生地のハーフパンツの上から内股を撫で上げ、脇腹を滑ってくる。
吐息が、まざりあう。
「すっかり、やーらしい体になっちゃって。オニイチャン」
「だ、れの……せい」
「俺のせいって、それ誉め言葉?」
「うるさい!」
嫌だと言えない。
最初は確かに、母親を安心させる為だったはずなのに。
今は。
溺れている。確かに、確実に。