「ハァ〜」
誰もいない部屋に溜め息が木霊する、もう何回目になるだろう、溜め息の主である少年・浅井良介は悩みを抱えていた、その悩みとは姉の天音(あまね)についてである。姉といっても血は繋がっておらず、良介の父が養子として引き取ってきたいわば義姉である。
「ただいま」
ちょうど天音が大学から帰ってきた、彼女の良く通る声は二階にいた良介にも聞こえ、良介は階段を降り姉を出迎えた。
「お帰り、姉さん」
「ただいま、良くん」 笑顔であいさつを返した天音だが、家に上がる気配はない
「どうしたの?」
きょとんとしている良介に天音は頬を膨らましてささやいた。
「・・・・・・お帰りのキスは?」「へ?」
良介が帰ってくると必ず天音はお帰りのキスをしてくれる、その事を思い出した良介は、
「あぁ」
と納得した、良介が思い出している間ずっと天音は目を閉じて待っていた。
こういうのを据え膳て言うんだろうな、などと思いながら、良介は天音の唇に自分のそれを軽く重ね合わせた。唇から伝わる女体の柔らかさと甘美さ、鼻腔から伝わる少し汗香の混じった薫りに、自分のモノが熱くなっていくのをかんじた良介はすぐに体を天音から離した