翌日の夕方
俺はバンドのメンバーと
ステージの裏に待機していた。
「緊張するなぁ…。」
高橋がそう溢した。
「…そうだな。」
俺はと言うと、
詩喜の前で上手く演奏出来ればそれで良かった。
詩喜…来てくれてるかなぁ
「ォィ!出番だぞ!」
「お、行くか!」
少し眩しい
スポットライトの下に出て
真っ先に詩喜の姿を探す。
客席が暗くてよく見えない…
そんな事をしているうちに演奏は始まった。
その間も詩喜の姿を探す。
来てくれて無いのかなぁ…
そんな不安が頭を過った時だった
視界に詩喜が映ったのは。
来てくれてた…!
俺と目が合った詩喜は
微笑んでくれた。
思わず口角が上がってしまう。
沸き上がる嬉しさと感動を小さなステージの上で
抑えるのが大変だった。
そして一曲目が終わり
高橋のMCに移る。
「いやぁ、実は今日のライブでやけに張り切ってる奴がいてさぁ…」