「真面目にやりゃあできるじゃないか」
きゅっきゅっと音をたてたペンから赤いマルがいくつも並んでく
「だからやればできるんだって」
「馬鹿。当たり前だ
それは勉強できねぇ奴の言い訳。
やらないでいていつか本当にできなくなっても知らないぞ」
「あれ?先生知らないの?俺結構テストとか点数いいよ」
「知ってるよ。だから何でお前はせっかくの選択教科を苦手な化学にしたんだって言ってんだ」
(せっかくの選択教科だからです)
「楽しいから。実験とか、ゲンソキゴー?とか
知ってたら便利じゃん」
便利って何がだと心で自分にツッコミを入れた
「元素記号くらいちゃんと言え。それにそんな範囲してねぇ」
「てか先生さ
生徒が苦手教科克服しようとしてんだから普通褒める所じゃない?」
「お前なぁ俺は心配してやってんだぞ
テストの点だけ良くても生活態度が悪かったらそれだけ評価も下がるんだからな
特にお前は。」
(心配してくれてんだ?)
「分かってるよ。だから最近ちゃんとしてるじゃん
それに大丈夫だって俺本当に化学好きだし」
嘘
化学なんて大嫌いだっつーの
訳わかんねぇあんなん
「…そうか。」
(笑った…)
「河合先生も喜ぶよ。お前の事気にしてたからな」
…
あぁ、
残酷な気分だ
「…?深谷…」
甘そうなピンクの口元に吸い尽く
¨ン¨と言ったのは先生
これはいつもの事。