―今年から新しく入った、
若い女の先生。―\r
生徒にはこれだけの情報しか伝わっていなかったため、
この先生の初めての授業があまりに退屈だったことに、クラスのほとんどが動揺していた。
―橋那 利葉(ハシナ リヨ)―\r
キーン、コーン、カーン…
「オイ、どうなっちまうんだよ…この先。」
新任、橋那利葉の情報を一番にクラス中に伝えた生徒、塚本 吉城(ツカモト ヨシキ)がうめいた。
まさかの新任早々、挨拶もそこそこに授業開始とは、クラス全体が予想していなかった事態だった。(この反応から無論、ここは進学校ではない…。)
「どうって…。」
応えたのは村井 長政(ムライ ナガマサ)。
このクラスの¨副¨委員長でもある。
授業終了直後の今、クラス全体が文句を言い合っている。
「ナガマサよ、今年ウチの担任まだ決まってないらしいぜ。もしかしたら…。」
いくら副委員長とは言え、
あの担任には物怖じしてしまうだろう。
長政は考えたくなかった。
担当は英語。
せめてそれだけにして欲しいと長政は思っていた。
―どうかあの先生は違うクラスに行きますように…。―