「でも…新任早々泣くって。……もしかして先生の間でもイジメがあるとか!?」
長政は付き合いきれないと、ヒカリをよそに教室に戻ろうとした。
「ちょっ、待ってよ!」
「あのなぁ、ウチの学校にはそこまで陰湿なイジメはねェよ。ましてや教師同士でなんて…。」
その時、ヒカリが長政の腕をぐっと引っ張った。
「………今は、ね。」
「〜〜〜〜〜。もうその事は気にすんなよ。」
ヒカリは首を横に振った。
「ううん。私がこうして学級委員長までやれてるのは、長政のおかげなんだよ。どうしたって忘れらんないよ。」
「だから…忘れなくても良いけど、気にすんな。」
ヒカリの肩をポンと叩くと、
長政は足早に教室に戻っていった。
ヒカリは肩に残る長政の手の感触を確かめていた。
長政とヒカリがまだ、1年生の頃。
クラスも別々だった二人が、
ある事件をきっかけに知り合うこととなる。
―2年前―\r
長政はその日、数学の課題プリントが終わらず、教室で最後の一人となっていた。
「〜〜!!っくそ、真っ暗じゃん。」
自分の教室だけしか明かりが点いていない。
教室から出るまでは少なくとも長政は思っていた。