放課後。
長政が足早に帰ろうとするのを、ヒカリと吉城が呼び止めた。
「なんだよ。」
「長政には言っておこうと思って…。」
「え、え?二人もしかして付き合ってる?」
「バカ、吉城が発見したんだけど見て。」
実は吉城もヒカリをレイプした教師を追い出すために協力してくれた。
3人は端からは分からない友情で結ばれていた。
長政に見せられたのは名簿だった。
去年の日付になっていた。
「何これ……内海原高校英語担当…大槻利葉…リヨって、橋那利葉か。大槻(オオツキ)って…………。」
長政の表情が歪んだ。
「大槻 洵(オオツキ マコト)の妹だよ。」
大槻洵。
ヒカリをレイプした張本人だった。
「なんで、名前変えて、坪内が居るって分かってて、しかも坪内の居るクラスに、あんな堂々と顔出せんだよ!」
「まぁまぁ落ち着けって…俺も驚いてんだよ。あの事件が2年前、それまでずーっと務めてた内海原を辞めてまで今年この学校にアイツの妹が来た。」
「坪内に謝るためか?」
ヒカリも困惑していた。
「長政、吉城…。私、いいよ。あの人がどんな理由で来たにしても今は担任の先生なんだから。」
吉城が複雑な表情でヒカリを見つめた。
長政はグラウンドの方に体を向けていた。
「坪内、もしなんかあったら俺らに言えよ。……あの事知ってんの俺らだけなんだから。」