半分泣いていたヒカリをウチまで送り、長政は帰路についた。
少しキツく言い過ぎたと長政は後悔していた。
「村井…くん？」
「橋那先生…！」
「ちょうど良かった、話したいことがあるから少し時間いいかしら？」
「え、ええ。」
雨は激しさを増していた。
豪華な一軒家に利葉は住んでいた。
「すごっ…。広いですね。」
「………あなたなら知ってるでしょ？どうしてこんな家に一人暮らしか。」
「ええ。２年前にアンタの兄貴をあの学校から追い出したのは俺だからな。」
利葉はショックを隠し切れず、しばらく顔を伏せて、泣いた。
「ワケが分からないの……。どうして！？兄はあんなことをする人じゃなかった！」
「でも事実だ。俺は見た。坪内ヒカリは、大槻洵にレイプされた。」
「私、信じれなかった。去年の春、兄が教職を辞めると言ってから行方知れずになって…調べたの。そしたら、校長先生から、あなたと、塚本吉城くんとで、兄を学校から追い出したって聞かされて。」
「そうだ。校長しか知らない。」
「ワケが分からない…！兄が…そんなことを…！」
「理由は分からない。ただ坪内がイジメられてたのを助けた恩を利用して大槻洵は坪内を。」
「やめて…。もう分かったから…。」
「あんた坪内がどんな傷を負ったか分かってねぇよ。」
「許して。……ねぇ村井くん。私があなたを通して謝罪したなら彼女は許してくれるかしら。」
「知るか。あんたの代わりなんかするかよ。」
すると突然、利葉は家の鍵を閉め、広いリビングに長政を連れ込んだ。
「先生？」
利葉はスーツの胸のボタンに手をかけた。
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